2月15日はNational Day。
「地球の歩き方」によると、1558年にポルトガルに制圧されたモルディブが、15年間の戦いの末に独立を回復した日。
それが1573年のこと。
その後1887年にイギリスの保護領となり、1965年7月26日に独立する。
なので7月26日の方は「Indipendence Day」とされている。
そんな歴史をもつこの国。
島では思い出したように、前日14日に式典の準備を始める。
国旗を島のあちこちに立てる。
モルディブの国旗は、赤地にイスラム教を表す緑と月のマーク。
日本の国旗は太陽だから、反対というか、似ていると言うか。
学校の校舎にも国旗の色である、赤・緑・白の旗を渡らせる。
子どもたちは、授業で国旗の絵を描く。
時間がないからと言って、5年生の体育は急遽カット。
こうしてすぐに切られちゃうのが、私が担当する体育と音楽。
モルディブの国花はなぜかバラ。
こんな熱帯性の気候で、バラなんて咲いているのは見ないけど・・・・
これもイギリスの影響を受けてるんだろう。
その「バラ」の絵も描いていた。
いつも描き慣れている様で、みんなとっても上手。
「上手だね」って誉めると、うれしそうに「これも、これも!」って見せてくれる。
10年生の男の子も得意気にバラの絵を見せてくれた。
私のノートにも描いて!ってお願いすると、するするするっと、あっという間に完成。
これは練習次第で描ける様になるみたい。
だってみんな同じように上手にかくんだもの。
私も練習してみようっと。
これがいつも持ち歩いているノート。
授業の記録やその日に覚えたディベヒ語なんかを書き留める何でも帳。
表紙には去年の日モ祭りの集合写真が、裏表紙にはバラの絵が加わった。
National Day当日は、朝6時の国旗掲揚のため、5時45分から式典が始まる。
いつも思うんだけど、モルディブって時間と太陽の位置がずれている気がする。
あと1時間時計を早めたらいいのにな、よくあるサマータイムのように。
朝は涼しい時間を有効活用できるし、夜だってエネルギーを節約できるでしょ。
つまり朝の6時といってもまだ薄暗い。
ようやく空が白んで来る頃。
召集された全校生徒と学校職員、保護者、島事務所の人々・・・
ラジオ放送に合わせて国旗が掲揚される。
ぼそぼそっと自信なさそうに歌う、タイミングの合わない国歌と一緒に。
あっという間に式典終了。
「さあ、ピクニックに行くぞ!6時15分には来てね」と校長に言われ、急いで準備する。
今日向かうのは「フォッテヨ」という、モルディブ最東端の島。
以前は数十人の島民が住んでいたけれど、今は政府の管理下にあって、近々リゾートの建設が始まるのだと言う。
船に乗ったらまずは朝ごはん。
船で作って船で食べる。
これはロシ(小麦粉をこねて焼いたもの)とマスフニ(なまりぶしや椰子の実、玉ねぎなどを細かく刻んで混ぜたもの)。
フォッテヨは浅瀬が続いているので、大きな船は着岸できない。
なので今日は、小さなボートを牽引していく。Captainの後ろにちょこっと見えるでしょ?
沖に船を停泊させて、このボートで上陸するのだ!
島に着いたらしばし散策。
白砂のビーチがどこまでも続いてとてもキレイ!
でもこういう所って海の中にサンゴや岩が無いから、あまり魚が見えない。
私はシュノーケルがしたいので、結局は島で泳いでいる方が楽しいんだけど。
流木はサリー(おしゃれ)らしい。
いくつか島に持って帰っていた。
鳥の足跡。
椰子の木の影も絵になるねえ。
島に来たら椰子の実を飲むことになっている。
無理して椰子の木に登ってくれるので、飲まない訳にはいかない。
あまり好きじゃないけど、今日は3個も飲まされた。
ビーチにカメの足跡発見。キャタピラみたいな形。
母亀が産卵をしに来た跡らしい。
かわいいな♪なんて思っていたら、事件①発生!
「タマゴを掘り返せ!」とみんな躍起になっている。
何をするのかと聞けば、もちろん食べるのだと言う。
おいしいらしい。
見つからないで!と、祈る。
でもそこは漁民の彼ら。
獲物の匂いを敏感に感じ取って、合計205個のタマゴを見つけ出した。
私としては、なんてかわいそうなことを・・・と思うのだけど、これも彼らの文化だしね。
私だってこの前タコを銛で突き刺して、皮まではいで食べたし。
タコはよくて、何でカメはいけないんだって話。
だけど、やっぱり悲しいな。
みんなは卵焼きを作って食べた。
「おいしいから食べなよ!」って無邪気に勧めてくれるけど、とても食べられなかったよ。
気を取り直して、昼ごはんは椰子の枯葉を燃料に青空クッキング。
今日もフライドヌードルだけど、トマト缶が多めに入っていておいしかった。
食後にまどろむ長老。
この島もやはりゴミだらけ。
さあ帰ろう。
途中でとある島に立ち寄る。
何だかダイビングのポイントらしく、たくさんの船が泊まっている。
一向はみなさんその島の白い砂を拾っている。
よく見るとそれは、サンゴや小さな貝だったりしておしゃれ。
そんなのを拾うよりもこのきれいな海で泳ぎたいなと、1人で泳ぎに行く。
そこで事件②発生!
リーフエッジまで行って、いつものように魚を眺める。
そして前回り11回と、後ろ回り4回。
前回よりも、1回ずつ回数を増やしてみた。
そんなことをしているうちに、ずい分流されてしまったことに気が付く。
戻ろうと思うも、流れが速くて無理。
そう、こんな時は流れに逆らうと体力を消耗するだけなのよね。
この前ダイビングの講習で習ったこと。
沖に停めた船の位置を確認する。
流れと90度の方向にある。
あそこに帰るのも無理。
さあ困ったなあ。
これはしばらく流されるしかない。
みんなが気が付くまで、体力がもつかな・・・
そんなときに。
まだ「その日」ではなかったようで。
ダイビングのボートが近くを通った。
これも講習で習った「助けて」のサインを送る。
こっちに向かってくる船。
ああ、私、助かったんだ・・・
船に救出されると、中にはきょとんとする日本人観光客の皆さん。
日本人か・・・。素性がバレたら、恥ずかしいなあ。
とりあえずは大きなサファリボートまで向かってもらう。
「お茶でも飲んで行きなよ」って、のんきなクルーのみさなさん。
でも、そろそろ向こうも心配している頃なので、すみませんが早目に帰して下さい・・・
ケヨドゥーグループも、こちらに気が付いて向かってきた。
小さなボートで、急いでみんなのもとに送ってもらう。
当然みんな怖い顔。
「キョウコ、ボー、サカラ!モヤウィ!」
(杏子は頭がおかしい!狂ったんだ!)
「キョウコは死んだかと思ったよ。」
その通りです。
私は頭がおかしいです。
心配かけて、ごめんなさい!
彼らが続ける。
「カメのタマゴを食べないからこんな目に遭うんだ」って。
その後、島でこの事件が噂になったのは言うまでもない!
1人で泳いではいけないのは、基本中の基本。
そしてこの時期は潮の流れが速いのも、周知の事実。
完全に油断していた。
もう一度気を引き締めなきゃ。