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ちきゅう



「忘れたくない」


小さい頃はもの覚えも記憶力もよかったのだけれど。
いつからか何でもかんでも忘れてしまうようになった。

最近忘れつつあるもの。
それは、モルディブで使っていた言葉、ディベヒ語。

人口500人の小さな島で、日本人一人ぼっち。
毎日ディベヒ語に浸かって生活していたのにね。

帰国してまだ2カ月にもならないけれど、モルディブにいたのはもう遠い昔の出来事のようだ。
記憶のはるか片隅で、まぶしくきらきら輝いている思い出。

何とか日本社会に復帰した。
でもこの猛スピードの時間の流れのベルトコンベアーに乗せられていると、頭の中がすっかり日本モードになってしまう。

きのうモルディブから6年生の男の子が電話をかけて来てくれた。
彼には4年生の時から体育と音楽と日本語を教えた。
小学部の教務主任の息子である彼は、勉強ができるだけではなく気持ちの優しい男の子。

「元気?今度はいつ遊びに来るの?」ってう、たわいもない会話。
でもそんなのが、すごくうれしいんだな。
特別な用は無いんだけど、どうしてるか気になってかける電話。

その彼相手に話をするのに、言葉がなかなか出て来ない。
「あれ、何だっけこれ?」って、ディベヒ語データバンクを検索する。
次の言葉を話すのに、頭の中で急いで言葉を探しては並べていくという作業が入る。

「もうずいぶん話してないから、ディベヒ語忘れちゃったよ・・・」と言うと、
「だいじょうぶ!上手だよ!」って、励ましてくれた。

「忘れたくない」_f0204584_21185075.jpg

彼が電話をくれたMinhaaju。
去年の3月に一緒にピクニックに行ったときに船を操縦しているところ。


こんなふうに、あの1年9カ月のことも忘れてしまうんだろうか。

たくさんの元気をくれた子どもたち。
いつも色々とお世話してくれた島のみなさん。
毎日通った学校。
別れと出会いを繰り返した港。
暑い暑い白砂の道。
びくりするくらいきれいな海。
夕陽にお祈りをしたビーチ。
月や星を眺めた、傘の下。

250m×500mの小さな小さな島で、本当に色々なことがあった。
笑ったり泣いたり、人生のエッセンスがぎゅっと詰まった時間だった。

日本で暮らしている私は、ちゃんと「生きて」いるのかな。
何かを感じて、それを表現できているんだろうか。

ずっとずっと忘れたくない。
だからまた、会いに行くよ。
by skr201 | 2011-05-12 21:20
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モルディブでの島生活  +日本での日々の記録    -under the same SKY-

by skr201
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