宮西達也 作・絵 「おまえ うまそうだな」
これ、私の大好きな絵本。
最近はどこの学校でも朝読書というのが流行っていて、週に1回15分くらい、子どもたちが静かに読書をする時間が設けられている。
お気に入りの本を家から持ってきても良し。
クラスや図書室の本を読んでも良し。
とにかく心を落ち着け、読書に集中するのだ。
そんな時間にたまに保護者の方々の有志のグループが、読み聞かせに来てくれる。
数年前のそんな読み聞かせの時間に、とあるお母さんが読んでくれた本。
肉食恐竜・ティラノサウルスが草食恐竜・アンキロサウルスの卵を見つけた。
その卵から生まれた赤ちゃんを見て、「おまえ、うまそうだな」とつぶやく(食べようとした)。
「そうか。ぼくのなまえ、『うまそう』っていうんだね」
「ぼくのなまえ しっているんだから おとうさんでしょ」
いつの間にか二人は、父と子という関係になった。
孤独に生きてきた大きな恐竜は小さな命に出会い、それを守りたいと思った。
小さな恐竜は大きな恐竜を父と思い込み、父のようになりたいと憧れた。
誰かが誰かを思う気持ち。
喜ばせたい、大切にしたい、いつまでも一緒にいたいと思う。
でも二人は棲む世界が違い、別れの時が訪れて・・・
絵本に名作は多いけれど。
ここ数年の、ナンバーワンだと確信した、そのとき。
(「あらしのよるに」にも似ているけれど、もっと短くて子ども向け)
それから数年が経ち、きのうのこと。
出張で訪れたとある学校の図書室で見つけたのだ、あの恐竜シリーズを。
「わたしは あなたを あいしています」というタイトル。
今回も同じく、肉食恐竜とその捕食対象の草食恐竜の話。
言葉が通じない2種の恐竜だったのだけれど、一緒に過ごすうちに心が通い始め、最後には言葉まで分かり合えたような気がしたというストーリー。
同じ言葉を話すのに、相手を騙して食べてしまおうとする恐竜もいれば。
言葉は違えども、心が通い合う恐竜たちもいる。
そんなエピソードが自分と重なったような気がして、妙に響いた。
やっぱりいいなあ、このシリーズ。
気になって検索してみたら。
なんとちょうど1年前の今頃、テレビアニメ化そして映画化までされていたのだという。
(「おまえ うまそうだな」の方)
これは急いで借りにいかないと!
私は希代の名作を見逃しているのかもしれない。