以前働いていた地域の小学校では、担任が妊娠中の体育の授業は免除されていた。
代わりに体育の授業を担当する講師が、派遣されてくるのだ。
(その場合、「近隣校で2人」という条件があり、それに該当しないと適用されないけれど)
ひるがえって現在の勤務地域では、そんな制度はないらしく、配慮はまったくない。
どんなに体調が悪くとも、安定期に入っていなくとも、体育をやらねばいけないのだ・・・
担任をもっている以上、体育をやらない訳にはいかない。
小学生の場合、特に低学年では、道具の準備や片付けから一緒に行わないと、危ない。
危険なもの重たいものこそ、担任が何とかしないと・・・子どもの安全が第一だもの。
小さい子は指示を出すだけでは伝わらないので、自分が見本を見せることもしばしば。
子ども達が色々と動けるようになれば、子ども同士でもできるんだけど。
実技では補助もしないとだし、その時にお腹を蹴られたらどうしよう・・・と不安だった。
重いものを持つたび、お腹に手をあてて「がんばってね」と声を掛けて。
幸い私の場合は、つわりもほとんどなく、体調はずっと安定していた。
だからどうにかなったけれど、これで体調が悪かったら、一体どうするんだろう・・・
いちばん怖かったのが、水泳。
安定期に入る前の、安静にしたい時期だった。
私はずっと、水泳の授業は学年でやってきた。
水泳は万が一の時には、重大な事故につながる。だから複数指導が当たり前。
授業中には役割分担をして立ち位置も決め、死角がないように皆で目を光らせる。
緊急時には管理職への連絡・応急措置・通報・児童管理など、誰が何をするのかもあらかじめ決めておくことになっていた。
だけどここでは、驚くことに各クラスごとの実施なのだ。つまり担任一人しかいない。
もし何か起きたら、妊婦一人で何ができるというのだろう・・・
なので今年はお願いをして、特別に学年対応という形に変えてもらうことにした。
と言ってもここは、2クラスなので担任は2人しかいない。
一人が地上で全体指示をすれば、もう一人は水中で児童管理と実技の補助をするしかない。
なので炎天下の中、2時間プールサイドに立ちっぱなしか、水の中に入りっぱなし。
もし万が一があれば、担任としては当然、目の前の子ども達の命を助けにいく。
そうなるとお腹の中の子は、犠牲になる可能性もあるということだ。
そんな覚悟をして、臨まなければならないということ。
お腹も冷えただろうけれど、何とか無事に水泳の授業を終えたときには、ほっとした。
その後に続いた運動会だって、炎天下で続く連日の練習に、担任の代わりはいない。
これがこの仕事をするということ。
みんなが歩いてきた道なんだろうけれど、それにしてもここの女性の先生たちは、大変。
でも「これが当たり前」「みんな苦労してきた」で済ませていいんだろうか・・・
出産まであとひと月あまり。
あの頃の無理がたたって・・・なんてことがありませんように。
「~しなければ良かった」って、後悔することにならないといい。
その代わりに今、十分のんびりさせてもらっている。