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ちきゅう



299日目 「はじまり」

最近仲の良い友だち。
10年生のシファー、15歳。
つまり私の半分・・・。

学校の副キャプテン(生徒会長)を務める彼女は、いわゆる優等生。
私みたいな外国人にも興味をもち、あれやこれやと世話をしてくれる。

何だかんだ言っても15歳。
仲良くなったきっかけは、恋の話だったかな。
島に語学研修に来た男性隊員に憧れて、「仲を取り持ってほしい」と頼まれたことがあったっけ。

そんな年頃だよね。

彼女は私のクリーンアップ作戦にも興味を持っていて、これまでもたまに手伝ってくれていた。
環境にも意識が高いって、この島ではものすごく貴重な存在。

そんな彼女がある日、自分から、「明日ごみ拾いに行こうよ!」って言い出した。

モルディブ人の口から、そんな言葉を聞ける日が来るとは・・・
こんなこと言うの、この国中を探したって彼女しかいないだろう。
これまでの数ヶ月間の苦い思いが、救われた瞬間だった。

そして翌日。
天気は珍しく雨。風も強い。
こんな天気ではゴミ拾いも大変だし、拾ったゴミが風で飛ばされる。

なのでもちろん延期でしょと、私は判断。
のんきにホタでお茶をしていた。

しかししかし、健気なシファーは、約束の時間に私を探し回ったのだという。
その後だいぶ、文句を言われた。
連絡しなくてごめんね。

そしてまた、翌日。
天気は快晴。

今日は3人の新隊員も担ぎ出す。
バロー(手押し車)とゴミ拾い用のトングを準備して待っていると・・・。

約束通り現れたシファー。
しかも友だちを連れてきている。

そして二人は何でもないようにゴミを拾い、私が持つバローに入れて始めた。
しかも素手で。

これってものすごく画期的なこと。
モルディブ人は宗教的に、「浄・不浄」の観点でものを考える。

だから「汚い」ってことは、一番の問題。
何をどうしたってだめなんだ。

ゴミを拾うのは、汚いこと。
身分の低い人や、その仕事を生業とする人がやること。

ゴミを拾うのはかっこ悪い。
友だちが、家族が、そして恋人が見ている前で、そんなことはできない。

ということは。

この若い二人が人目を気にせず、ゴミを拾ってくれたこと。
それってものすごいこと。

この小さい島では、誰もがお互いを見ている。
「ゴミを拾ってたから、あいつは汚い」なんて言われかねない。

彼女たちの親御さんだって、いい気はしないだろう。
何を言われるかわからない。

だからすごく嬉しかったよ。
ありがとう。

まだ若い彼女たち。
この国の未来を担う彼女たち。

彼女たちの意識の中に芽生え始めた何かが、大きく育って行くと良いな。
これが何かの「はじまり」になれば。

そんなことを願いながら。

299日目 「はじまり」_f0204584_0483429.jpg

新隊員の2人と。
by skr201 | 2010-04-16 00:49
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モルディブでの島生活  +日本での日々の記録    -under the same SKY-

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