最近仲の良い友だち。
10年生のシファー、15歳。
つまり私の半分・・・。
学校の副キャプテン(生徒会長)を務める彼女は、いわゆる優等生。
私みたいな外国人にも興味をもち、あれやこれやと世話をしてくれる。
何だかんだ言っても15歳。
仲良くなったきっかけは、恋の話だったかな。
島に語学研修に来た男性隊員に憧れて、「仲を取り持ってほしい」と頼まれたことがあったっけ。
そんな年頃だよね。
彼女は私のクリーンアップ作戦にも興味を持っていて、これまでもたまに手伝ってくれていた。
環境にも意識が高いって、この島ではものすごく貴重な存在。
そんな彼女がある日、自分から、「明日ごみ拾いに行こうよ!」って言い出した。
モルディブ人の口から、そんな言葉を聞ける日が来るとは・・・
こんなこと言うの、この国中を探したって彼女しかいないだろう。
これまでの数ヶ月間の苦い思いが、救われた瞬間だった。
そして翌日。
天気は珍しく雨。風も強い。
こんな天気ではゴミ拾いも大変だし、拾ったゴミが風で飛ばされる。
なのでもちろん延期でしょと、私は判断。
のんきにホタでお茶をしていた。
しかししかし、健気なシファーは、約束の時間に私を探し回ったのだという。
その後だいぶ、文句を言われた。
連絡しなくてごめんね。
そしてまた、翌日。
天気は快晴。
今日は3人の新隊員も担ぎ出す。
バロー(手押し車)とゴミ拾い用のトングを準備して待っていると・・・。
約束通り現れたシファー。
しかも友だちを連れてきている。
そして二人は何でもないようにゴミを拾い、私が持つバローに入れて始めた。
しかも素手で。
これってものすごく画期的なこと。
モルディブ人は宗教的に、「浄・不浄」の観点でものを考える。
だから「汚い」ってことは、一番の問題。
何をどうしたってだめなんだ。
ゴミを拾うのは、汚いこと。
身分の低い人や、その仕事を生業とする人がやること。
ゴミを拾うのはかっこ悪い。
友だちが、家族が、そして恋人が見ている前で、そんなことはできない。
ということは。
この若い二人が人目を気にせず、ゴミを拾ってくれたこと。
それってものすごいこと。
この小さい島では、誰もがお互いを見ている。
「ゴミを拾ってたから、あいつは汚い」なんて言われかねない。
彼女たちの親御さんだって、いい気はしないだろう。
何を言われるかわからない。
だからすごく嬉しかったよ。
ありがとう。
まだ若い彼女たち。
この国の未来を担う彼女たち。
彼女たちの意識の中に芽生え始めた何かが、大きく育って行くと良いな。
これが何かの「はじまり」になれば。
そんなことを願いながら。
新隊員の2人と。