何度も書いているけれど、この島は僻地。
首都マーレから南に約80km。
高速船なら1時間半、貨物船なら6時間。
食料や日用品は、週に1回マーレから運ばれてくる。
手に入るものは、それだけ。
人口わずか500人。
たて250m、横500mという小ささ。
嘘だか本当だか、わずか3家族から構成されているとか。
こんなすごい僻地なのに。
なぜだかみんな、オシャレなケータイを持っている。
iPhoneみたいにタッチパネルで操作する、そんな最新型を。
家庭用の電話がないので、この島での連絡手段は、ケータイか島内放送。
こんな風に携帯電話が普及する前は(と言ってもつい最近まで)、学校やアイランドオフィスにある電話か、島に2台だけある公衆電話を使っていたのだという。
この島でも若い子を中心に、みんなケータイ中毒。
暇があれば電話、メール、チャット(日本で言うSNSみたいなサイト)・・・
音楽や動画もケータイでDLして楽しんでいる。
その活用度たるや、すごい。
まさに肌身離さず、一心同体。
先生たちだって、授業中にも関わらず、電話に出ちゃうんだからびっくり。
「礼儀」という考え方がないので、先生に限らず、仕事中・会話中、所構わず電話する。
私たち隊員には、事務所からケータイ電話が貸与されている。
事務所から支給されるようなケータイは、もちろん旧式の廉価品。
若い子はまず持っていない、渋ーい代物。
カメラはついていない。
液晶画面は白黒。
Blue Toothも無し。
まさにSimple is the best!
まあ、特にこれで困ったことは無いんだけれど、私たちのケータイよりもよっぽど良い最先端のケータイを国民の多くが使いこなす様な国に、公的援助が必要なのかなとも疑問に思う。
しかし、私の旧式ケータイにも、ひとつだけ彼らに負けないアドバンテージがあった。
それは、ケータイの上部についている、ライト(懐中電灯みたいなもの)!
月やら星やら眺めることが多いので、よくビーチに行く。
ビーチには街灯が無いので、夜空がきれいに見えるから。
月が明るい夜は夜道も歩きやすいけれど、今日みたいに月が深夜に出る日には、集落からちょっと離れると歩きにくい。
そんな時に活躍するのが、このライト。
液晶画面の明かりじゃ頼りないけれど、ライトとしてつくられたこの品物はちゃんと仕事をしてくれる。
ビーチにある段差、流木、カニが掘った穴。
そんなものにつまづいて転ばないように。
いつだったか夜のビーチで鍵を落としたことがあった。
このライトがなければ、まず見つからなかっただろう。
かっこいいケータイには、まずついていないライト。
見た目はかっこ悪いけれども、まだ「暗闇の世界」が存在するこの島には、あるとかなり便利。
そんなわたしのケータイ、意外と気に入ってる。
左から、日本・モルディブ・そして緊急用の衛星携帯電話(これも支給品)。