2月の初めに、季節が変わった(気がする)。
あんなに荒れていた海が穏やかになって、魚が戻って来た。
どれくらい穏やかかって、50m先のビーチを歩く人の足音が聞こえるくらい。
100m沖に浮かぶ船で魚をつる人たちの話し声が聞こえるくらい。
荒々しいうなり声をあげていた海が静まりかえり、あたり一面の音を吸収しているようだ。
波の音すら聞こえない、波すら立たない「凪」の海。
毎回どこでやろうか思い悩んでいた水泳の授業。
もし子どもが溺れたら・・・なんてことが毎日頭をよぎっていた。
「何もこんな時期にやらなくても」って私も思ったけれど、帰国間近で致し方なし。
でも今なら、どこのビーチでだって安心してできるもんね。
乾季と雨季という2つの季節のほかに、モルディブには"nakai"という、細かい分類があるらしい。
風向きや波の状態によって、決まるという。
そんなナカイの変わり目を。
何となく感じるようになり、この島についてまたひとつ、知り得た気がした。
漁にまったく出ていなかった大家さんが漁に出て、魚を大量に持ち帰って来た。
他においしい食べ方はたくさんあるはずなのに、捌いたそばから全部煮込んで、"hiki(乾燥した) masu(魚)"=カツオブシを大量につくる。
限られた食料を長く保つための保存食。
これも昔からの生活の知恵なのね。
マンマたちが掃き掃除をするたびに、乾燥し切った白砂の道が大量の埃を巻き上げる。
モルディブの強烈な日光とそんな埃にさらされて、旨味を熟成するヒキマス。
もっともっと、おいしくなあれ。
ちなみにこの路上のヒキマスは、つまみ食いしてもいいことになっている。
島の物は、みんなのもの。