私たちは任地に派遣される前の2カ月間、国内にある2か所の訓練所で派遣前訓練を受ける。
その訓練所の小講堂の前の壁に貼ってあったのが、この詩。
あの時にも心に引っかかったけれど。
今はずっしりと響く。
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若さゆえ / 谷川俊太郎
差し伸べられた細い手
助けようとして君は助けられる
その手に
求めてやまぬ ひたむきな心
教えようとして 君は学ぶ
その心に
凍りついた山々の頂きを照らす朝日
重なり合う砂丘のやわらかい肩に昇る朝日
市場のざわめきをつらぬく朝日
それらは同じひとつの太陽
だからきみは ふるさとにいる
そこでも
底なしの深い目がきみを見つめる
その目にあなたは読むだろう
太古からのもつれあう土地の物語
きみは何度も問い詰める
きみ自身を
地球のために
そして夜人々とともにきみは踊る
きみは歌う
今日を生きる歓びを
若さがきみの力
きみの希望
そして私たちみんなの
若さゆえありあまるきみだから
目に見えるものを与えることは出来る
だが目に見えぬものは
ただ受け取るだけ
それが何よりも大切なみやげ
きみの明日