「帰国してからもついつい出てしまうディベヒ語は?」なんていう、帰国隊員への質問があった(隊員機関紙「サーボーン」より)。
私の場合は、ダントツ「ehentha?」。
日本語で言えば「へえ、そう?」くらいの相槌。
これが便利なもんで、どんなシチュエーションにも使えるので、向こうでもことあるごとに「ehentha?」を頻発。
おかげで先日も、英語の授業中(最近の小学校では英語のレッスンがある)にメキシコ人の講師や子どもたちの前で「ehentha?」と、つい出てしまった。
でも誰も私の間違いに気付いてくれないのがまた、悲しい。
日本にディベヒ語が理解できる人なんて、ほとんどいないだろう。
いや、世界中にだって。
だから帰国してしまえば何のメリットもないな・・・なんて思っていた。
帰国前に同期と、「暗号化しなくても秘密の手紙が書けるね」とか、「内緒話が大声でできるね」と冗談で言っていたけれども。
ある日それが、役に立ったのだ。
私たちの仕事でも、個人情報の保護というのは絶対。
子どもに関する情報は、どんなことでも漏らしてはいけない。
昔は私物のPCを持ち込んで、私物のメモリーにデータを保存して・・・なんて状態だったけれども、新しく赴任した学校では、机上には一人一台PCが貸与され、メモリーも支給された。
どんな情報も家に持ち帰ることは厳禁で、メモリーは常に金庫内に保存することになっている。
ノートに授業記録や子どもの様子、成績等を記入するにも、細心の注意が必要。
うっかり個人名などを書いて、それが子どもや保護者、そして外部の人間の目に触れたら大変なことになる。
先日も会議があって、数人の子どものことが話題になった。
ノートに詳しくメモしたいけれども、個人名を書くのは避けたいところ。
でも赴任したばかりで名前もよく分からないから、記録しておきたいなあ・・・さあどうしよう。
そのときにふと、頭に浮かんだ。
そうだ私は、暗号が書けるのだった。
忘れかけているディベヒ語で、子どもの名前を書いてみる。
久しぶりに不思議な文字がノートに並んだ。
これを解読できる人なんて、日本に何人もいないだろう。
万が一これが誰かの目に触れることになっても、個人が特定される確率は限りなくゼロに近い。
その時私は、ものすごく使える武器を手に入れたような気がした。
※個人情報保護のため顔を隠しています