うちの玄関の前に、ムスカリの花が咲いた。
(奥にある紫色の方)
この花を見ると、思い出すことがある。
この世界で、モルディブ共和国でのみ話されているディベヒ語という言葉。
アラビア語を起源とし、あの島国で独自の発達をしたらしい。
いい歳した日本人の女が、ふらりと島にやって来た。
この年代の女性は普通、結婚して子育てをし、家にいるって考えるのが彼らの常識。
だからよく、からかわれた。
「キョーコは、ムスクリ(muskulhi)」だって。
ムスクリとは英語で言う、oldのこと。
そう、三十過ぎのオバさんは、立派にoldだもんね・・・
言うたびに私が怒る(これもコミュニケーションのひとつ)もんだから、おもしろがって繰り返す。
結局最後までずっと、「ムスクリ」って言われてたっけね。
この花を見るたびに、あの島の人たちの顔が思い浮かぶよ。
「老けた」「太った」「いつ結婚するんだ」って、そんなことばかり言われてたなあ。
日本じゃ誰も、そんなビミョーな話題には触れないもの・・・